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グローバルCPI 35カ国比較──ガーナ 14.2%・日本 3.2%・モロッコ 0.7%

世界銀行 WDI で35カ国の CPI 前年比 を最新年で比較。2022年の世界的インフレショックから3年経った今、各国の物価収束パスが大きく分岐している。

CPI 前年比(%, 最新年)──35カ国ランキング

出典: World Bank WDI (FP.CPI.TOTL.ZG)。最新年は国により 2023〜2024 年。

4つのインフレ・クラスター

  • 超インフレ組(10%超): ガーナ(14.2%)、トルコ(34.9%)、 アルゼンチン(219.9%)。 通貨ボラティリティ・財政赤字・コモディティ依存が複合する構造的高インフレ。 名目金利を上げても実質金利がマイナスのままという通貨不信の局面。
  • 中位上振れ組(4〜10%): コロンビア・ケニア・ナイジェリア・南アフリカ・ブラジル・チリ。 コロナ後のサプライショック + コモディティ価格高騰の影響が残る新興国群。
  • FRBターゲット近傍組(2〜4%): 米国(2.9%)・日本・英国・スウェーデン・豪州・韓国・イスラエル・ノルウェー。 中央銀行の利上げが奏功し、目標水準に収束しつつある先進国群。
  • 低インフレ・デフレ懸念組(2%未満): 中国(0.1%)・ UAE・スイス・モロッコ。 中国は不動産不況に伴う需要不足、UAEは管理通貨制度(ドルペッグ)、 スイスは長年の低インフレ構造、モロッコは農業部門の好調による食料品安。

2022年ピーク (X) → 直近 (Y) のインフレ収束度

左下=2022年から収束(先進国)、右上=高止まり(新興国)、右下=急減速。

「インフレショックの後遺症」が分岐した

散布図を見ると、2022年に高インフレを経験した国々の 3年後の姿は2極化している。

  • 左下「収束組」: 米国・欧州先進国・チリ・ペルー・ポーランド。 中央銀行の早期利上げと労働市場のスラックでインフレ期待を抑え込めた国々。
  • 右上「定着組」: トルコ・ガーナ・ナイジェリア・アルゼンチン。 通貨切下げ・財政赤字・政治介入による中銀独立性の弱さが構造的高インフレを生んでいる。

CPI 前年比 長期推移(米国・トルコ・チリ・ガーナ, 1990〜)

超高インフレ国の振幅と、先進国の安定が同じスケールで見える。

新興国 vs 先進国の「インフレ・ボラティリティ」差

過去30年の振幅でみると、ガーナ・トルコは 50%超の急騰を繰り返してきた。 対して米国は 0〜5% の狭いレンジで推移する。 この差は中銀の独立性・財政規律・自国通貨に対する国民の信認という制度的要因に由来する。

ピンポイントで見れば各国インフレは時代の影響(コロナ・ウクライナ・コモディティ)を受けるが、 「揺れ幅」は制度の質を反映する。新興国投資の通貨ヘッジコストはこの構造的ボラティリティに比例する。

政策含意

  • 中央銀行独立性の価値: 高インフレ国の多くは、政府からの利下げ圧力に屈した過去を持つ。中銀の制度的独立がインフレ期待のアンカーを支える
  • コモディティ依存と為替の構造的脆弱性: アフリカ・中南米諸国はコモディティ価格変動が即輸入物価に波及する。多角化が長期課題
  • 「2%目標」の普遍性: 先進国の多くが採用する 2% 目標は、新興国にも徐々に拡大している。チリ・ペルー・コロンビアが目標達成型のインフレ・ターゲティングを成功させつつある

限界と留保

  • CPI 計測手法は国により異なる: バスケット構成・住居費の扱い・指数手法(ラスパイレス vs 連鎖)。直接比較には限界
  • 最新年が国により異なる: 2023〜2024年が混在。完全な同時点比較ではない
  • アルゼンチンの再分類問題: 2014〜2017年は政府データが不信感のため WB は INDEC 再分類値を採用。継続性に注意
  • 「2%目標」を採用しない国もある: ペッグ通貨制度の国(UAE・サウジ)は独自のインフレ動学を持つ
  • 食料・エネルギー比重: 新興国は CPI バスケットに占める食料・エネルギーが先進国の倍以上。コモディティ価格変動の影響が大きい
  • 35カ国は便宜的選択: G20+主要新興国+欧州先進国を中心とした選択。全途上国を網羅しているわけではない

データ出典

使用データ 出典
CPI 前年比 World Bank WDI (FP.CPI.TOTL.ZG)

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